前回のつづき。
韓国のイージスの悲しいお話。
さて、「攻撃型イージス」こと韓国のイージス艦だが、
名前を「世宗大王」(セジョンデワン)という。
「攻撃型イージス」とよぶのは、この艦が非常に重武装で、
かつ長射程の対地巡航ミサイルを装備しているからだという。
細かい能力や詳細はこちらのサイトが詳しいので読んで欲しい。
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日本周辺国の軍事兵器 セジョン・デワン級イージス艦とはいっても、長射程の対地巡航ミサイルなど、
アメリカのイージスが必ずと言っていいほど積んでいるので、
(トマホークミサイルのこと)
そんな物を積んだところで「攻撃型イージス」とは言い難い。おそらく、
「重武装」というのがポイントなのだろう。
さらに、この「世宗大王」、韓国のマスコミでは、
「日本の「あたご」よりも強い」などと書いている。
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「あたご」型超えた韓国産イージス艦、25日進水式→
世宗大王艦:日米のイージス艦に勝る装備誇る(上)まあ、「最強」とか「〜より強い」と書くのは、
あちらの国民性?とでもいうべきもので、
別にどうでも良いことなのだけども、
この艦を「強い」と表現する理由は、
やはり
「重武装」であるからだという。
(さらに「システムが精巧だ」とかいう記述もあったが、
同じ「イージス」である以上、根本は変わらないし、韓国で追加された機構が、
オリジナル以上にする保証もないので、ここではいったん無視する)ではこの「重武装」というポイントが、
この艦を「強く」しているのか検証してみたい。
「重武装=強い」っていうのは、
多くの人で成立している図式だと思いますが、
実際の所はそうじゃない。極端な例を言えば、
「兵士に1トンのミサイルを持たせたら、彼は強いのか?」とかいう話になる。
まあ、強いはずがない。
そんなばかでかい物持たせても、持ち運びはまず不可能。
そんな実用性の無い実装をしても、役には立たない。
これと同じ事が船にも言える。
その船の許容できる兵器搭載量を超えていないか?ということだ。
さらに言えば、その艦の任務にふさわしい武装(量)か?とも。
と、いうわけで韓国のイージスを見てみる。
外見、および武装やレーダーの配置は、
アメリカのイージス艦
「アーレイ・バーグ」級をベースとしているようだ。

この艦は実に合理的な配置をしていて、
イージス艦のレーダー「SPY-1D」の特性上の問題、
(4つのレーダーアンテナを離して配置できない)
それから派生する煙突や武装の配置の問題を解決した艦で、
日本のイージス艦「こんごう」級、「あたご」級のどちらも、
この「アーレイ・バーグ」級の派生といえる。
まあ、出来の良い先人がいるのだから、
そこから学ばないはずがないというわけ。
まあ、若干トップヘビーで、
余裕もないという欠点があるのだけど。
(「こんごう」「あたご」は旗艦機能のための
大型化をすることでこの問題を解決した)
まあ、基本的な配置には問題はない。問題は兵装である。
ここでは、全長が1メートル長い、「あたご」級と比較してみる。
(ただし、満載排水量では1000トンほど「あたご」が重い)
写真は「あたご」級2番艦「あしがら」VLS(垂直発射型のミサイルランチャー)
「あたご」 「世宗大王」
Mk.41VLS 96セル 80セル
韓国国産VLS 0セル 48セル
合計 96セル 128セル
(*「セル」はランチャーの数え方。
大抵1セルに1発のミサイルが入っている。ただし、
「ESSM」という短距離ミサイルは1セルに4発入る。)対艦ミサイルランチャー
「あたご」 「世宗大王」
SSM-1B対艦ミサイル 8基 0基
海星対艦ミサイル 0基 16基
合計 8基 16基
ヘリコプター搭載数
「あたご」 「世宗大王」
1機 2機
他、旗艦設備の有無、対潜用の魚雷、主砲なんかはだいたい同じ。
ただし、「あたご」が「ファランクス」と呼ばれる
対空機関砲2基を装備しているのに対し、
「世宗大王」は「ファランクス」よりも
大型な「ゴールキーパー」対空機関砲を1基、
さらに短距離対空ミサイルランチャーの「RAM」を
1基、代わりに装備してますが。
これらの重武装をしつつも、
全幅は「あたご」と同じで、
長さは1メートル短く、
さらに、満載排水量は1000トンも軽い。すなわち、軽く、小さいのに、遙かに重武装……。
これは、
『まるで余裕がない』ということを
わかりやすく示している。
韓国海軍は予算上の問題から隻数を多くできないので、
(根本的に対北朝鮮は陸軍の担当なので当然といえば当然)
その分一隻一隻の武装を強化しよう、という方針のようで、
結果、韓国の船は非常に重武装な船となっている。
事実、韓国の駆逐艦「広開土大王」が海自と演習した際、
その重武装故に
重心が高くて上手く曲がれず、
演習に支障をきたした、という話しが伝わってくるほど。
「世宗大王」も機動性が高いとは
お世辞にも言えないであろう事が想像できる。
また、「重武装」ということは
「弾火薬庫が多い」という事でもあり、
被弾時の誘爆が非常に心配でもある。
もっとも、韓国の船の艦橋には
木材が多用されていることが確認されているので、
被弾時のことは
もう諦めているのかも知れないが……。
(日本は太平洋戦争時の経験から
ダメージコントロールに気を遣っており、
艦には可燃物は使わず、ドアノブなども
火花が出ない真鍮を使っているらしい)
余裕がないということは運動性能の低下、乗員の居住性の悪化、
さらには防御力の低下に繋がり、
将来的な改良の余地も減ってしまう。
(現在の戦闘艦は30年ほど使うので、
定期的な改装による性能向上は必須)
そしてとどめを刺すようだが、
韓国のイージス艦に装備された「イージス・システム」は、
完全版ではなく、対潜戦闘用の機能などがオミットされている。
その代わりに欧州製の戦闘システムを装備しているそうだが、
このような装備で多国籍なのは褒められたことではなく、
欧州製のシステムをイージスに組み込む苦労は
並大抵の物ではないだろうし、
それがオリジナルを凌駕するとはとてもじゃないが思えない。
しかも、韓国はこれが最初の「イージス」なのだ。
結論として、
・艦の大きさの割に重武装過ぎて、
機動性、居住性、防御力、将来性に、
深刻な疑問点が存在する。
・「イージス」に組み込んだ各種システムに
対して不安要素があり、
これらが無事機能したとしても、
他のイージスより性能が高いとは思えない。よって、「世宗大王」の重武装は、
艦としてのバランスを悪化させており、
結果、実用性が非常に低い艦にしているといえる。
もし「世宗大王」をたとえて言うならば、
「表向き美人ではあるが、性格も悪ければ家事も下手な奥さん」と言ったところだろうか。
その火力には驚かされるが、火力に特化しすぎて
艦としてのバランスを崩してしまった艦、「世宗大王」。
旗艦としての使用を考慮し、火力は増強せずに大型化して
ゆとりをもたせた艦「あたご」と比べて、
「世宗大王」の方が「あたご」より強い!などとは、
私にはとうてい言うことができない。
なお、「世宗大王」にとっては悪いことに、
維持のための膨大なコストが問題になっているらしい。
さて、「世宗大王」の運命やいかに!?
とでも言ったところだろうか。